国連公海等生物多様性協定（BBNJ協定）への対応：日本が環境影響評価ガイドラインを公表
環境イノベーション情報機構（EIC）は、2025年6月11日に、国連公海等生物多様性協定（BBNJ協定）に対応するための国内措置として、「公海等における環境影響評価の実施に関するガイドライン」を公表しました。これは、地球の未来にとって非常に重要な一歩であり、海洋生態系の保護と持続可能な利用に向けて大きく前進するものと期待されます。
BBNJ協定とは？なぜ重要なのか？
BBNJ協定（Biodiversity Beyond National Jurisdiction Agreement）は、国家管轄権外の海域（公海など）における海洋生物多様性の保全と持続可能な利用に関する国際的な協定です。地球の表面の約70%を占める海洋は、地球温暖化の緩和、食料供給、資源の供給など、私たち人間にとって不可欠な役割を果たしています。しかし、海洋汚染、乱獲、気候変動などの脅威にさらされており、特に公海は保護の遅れが懸念されていました。
BBNJ協定は、以下の点において非常に重要です。
- 海洋保護区の設置: 公海における保護地域の設置を可能にし、生態系の保全を強化します。
- 環境影響評価の義務付け: 公海で活動を行う際に、環境への影響を事前に評価することを義務付け、環境への負荷を軽減します。
- 遺伝資源の利用: 海洋生物由来の遺伝資源の利用に関するルールを定め、利益の公平な分配を目指します。
- 能力開発と技術移転: 発展途上国が海洋保護に取り組むための能力開発と技術移転を促進します。
日本のガイドライン：何が書かれているのか？
今回公表された日本の「公海等における環境影響評価の実施に関するガイドライン」は、BBNJ協定に基づき、日本が公海で行う活動が海洋環境に与える影響をどのように評価し、軽減していくのかを具体的に定めたものです。
具体的には、以下の点が盛り込まれています。
- 評価対象となる活動: 漁業、海底資源開発、海洋調査など、公海で行われる可能性のある様々な活動を対象としています。
- 評価の手順: スクリーニング、スコーピング、詳細な影響評価、軽減措置の策定など、環境影響評価を行う際の具体的な手順を示しています。
- 評価項目: 生態系、海洋生物、海洋環境に与える影響など、評価すべき具体的な項目を定めています。
- 情報の公開: 環境影響評価の結果を公開し、透明性を確保しています。
- 関係機関との連携: 関係省庁や研究機関と連携し、科学的な知見に基づいた評価を行うことを目指しています。
なぜガイドラインの公表が重要なのか？
このガイドラインの公表は、以下の点で重要です。
- BBNJ協定の遵守: 日本がBBNJ協定を遵守し、国際的な責任を果たすことを示しています。
- 海洋環境保護への貢献: 日本が率先して環境影響評価を実施することで、海洋環境保護に貢献します。
- 企業の行動指針: 日本企業が公海で活動する際の行動指針となり、環境に配慮した活動を促進します。
- 国際的な信頼の向上: 日本の海洋環境保護への積極的な姿勢を示すことで、国際的な信頼を高めます。
今後の展望
今回のガイドライン公表は、BBNJ協定の批准と国内法整備に向けた重要なステップとなります。今後は、ガイドラインの実効性を高めるための運用や、BBNJ協定の早期批准に向けた取り組みが期待されます。また、今回のガイドラインを参考に、他国との連携を強化し、地球規模での海洋環境保護に取り組むことが重要です。
まとめ
国連公海等生物多様性協定（BBNJ協定）に対応するための日本の「公海等における環境影響評価の実施に関するガイドライン」の公表は、海洋環境保護における大きな一歩です。このガイドラインを有効に活用し、国際社会と協力しながら、持続可能な海洋利用を実現していくことが重要です。 私たち一人ひとりが海洋環境問題に関心を持ち、できることから行動していくことが、未来の世代のために美しい海を守ることに繋がります。
国連公海等生物多様性協定（BBNJ協定）の国内措置としての「公海等における環境影響評価の実施に関するガイドライン」を公表
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